坐骨神経痛の症例5 30代(妊娠6ヶ月)
患者
女性 30代 妊娠6ヶ月
来院
2015年 4月
症状
左のおしりから下肢にかけての痛みとしびれ。
下肢は膝下、すねの外側がとくに痛い。
1か月程前、妊娠5ヶ月頃から徐々に出現してきた。
思い当たる原因はなし。
左足に重心が乗るだけで激痛が走るため、初診時は杖をついて来院された。
施術と経過
初回の施術
初診時、待合のイスにも痛くて座ってられないため、来院後すぐにベットで側臥位(横向き)になってもらう。
触診すると、左殿部とひざ裏(委中)、左下腿外側(足三里)の圧痛が強い。少し触れるだけ痛みが増強する。
腰部、腹部、内転筋群の筋膜リリースをし、鍼灸施術を行う。
ツボは腎兪、大腸兪や左殿頂、委中などの坐骨神経に沿った経穴または反応点に刺鍼。置鍼5分。
触診し圧痛を確認。痛みが和らいだ。
その中でまだ圧痛が強い反応点に台座灸を行う。
施灸後も左のおしりの圧痛は残っていたが、座るのと立つ姿勢がかなり楽になっていたので初回の施術は終了とした。
2回目の施術(5日後)
痛みが和らいでいたので徒手検査や可動域の確認。
ラセーグテスト40度での痛みと、股関節外旋筋群への刺激で痛みが増強する。
初診時は触れるだけで痛かったおしりの痛みが軽減していたため、手技で筋膜の緊張を取り、初回時と同様のツボに対して鍼灸を行った。
3回目の施術
ラセーグテストでは50度以上足が上がるようになる。ひざ裏(委中)の圧痛も消失し、施術を修了した。
※施術の効果には個人差があります。
まとめ
妊娠中に大きくなるお腹に比例して、股関節は外側に回転(外旋)し常に圧迫を受けるようになる。
そのためおしりの筋肉(外旋筋)、とくに梨状筋は緊張する。
今回の痛みは過度に緊張したおしりの筋肉により、坐骨神経が刺激を受け出現したものと考えられる。
妊娠中の股関節の痛みや坐骨神経痛では多い原因の一つ。