坐骨神経痛(腰椎椎間板ヘルニア)の症例
坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の症例
すべての症例を紹介することが困難なため、一部を紹介します。
また、治療の効果には個人差があります。
症例1
患者
男性 40代
症状
1カ月前にぎっくり腰となり、腰から両下肢にかけての痛みが出現。病院で検査したところ「腰椎椎間板ヘルニア」と言われる。
歩けないほどではないが、現在も痛みは強い。痛みは疲労により増強。おしりやももが常に重くだるい。下腿部にも痛みが出現することもある。
治療・経過
SLRテスト陽性・上半身を前屈すると痛みが増強する。
初回時は手技療法により筋膜の過度な緊張を取り、椎間板に対する施術で硬化した関節に動きをつけた。
その後「大腸兪」「殿頂」「跗陽」「反応良導絡点」に鍼。施術後は腰、下肢共に可動域の変化がみられた。
その後、週に1回のペースで同様の施術をしたが、施術を重ねるごとに痛みは軽減。
2ヶ月ほどで施術を終了した。
まとめ
椎間板ヘルニアがあってもそれだけが痛みの原因とは限らない。
解りやすく言うと、筋膜や関節などへの過度なストレスにより、神経が炎症を起こすことで強い痛みが出現する。 神経の安静が必要だが歪みからくる構造的なストレスがあると安静を保てない。
症例2
患者
女性 30代 看護師
来院日
2014年 8月
症状・身体の特徴
今年2月に娘さんをご出産。骨盤の回復にと、産後すぐに骨盤矯正効果のあるベルトを装着しているうちに右股関節まわりに痛みが出始め、右下肢にかけて痛みとしびれが広がり歩行が困難なほどの痛みとなった。
治療・経過
初回時は痛みが強すぎたため徒手検査はしなかった。横向きにて「腎兪」「大腸兪」「小野寺殿点」「飛陽」に刺鍼と灸。横向きのまま固まっていた腹部の調整を行いコルセットをして終了。
同様の施術を週2回のペースで続け、3週間後にはうつ伏せにもなれるほど痛みが消失し、7週間後に施術を修了できた。
まとめ
ホルモン(リラキシンなど)によって出産のために調整された骨盤は、産後ゆっくり修復していく。その時期に骨盤を早く細くしようなどと、かなりきついベルトを巻いて腰や股関節を痛める人は意外に多い。そのようなベルトよりは、晒や腹帯をソフトに巻くことの方を当院では奨励している。
症例3
患者
男性 40代 自営業
来院日
2018年 3月
症状・身体の特徴
仕事で重い物を持つことや運転をする時間が多いことや、趣味のサーフィンなどによる腰部への負担もあり、慢性的な腰痛と右坐骨神経痛がある。
2週間前からとくに右下膝から足首にかけての痛みとしびれが強くなったため奥様のご紹介で来院。
整形外科、整体院には通院していた。整形外科では「ヘルニア気味」と言われている。
やや筋肉質。
治療・経過
初回時はうつ伏せの姿勢をとると下肢への痛みが強くなる状態。横向き中心で過剰に収縮している腰部筋と殿筋の緊張を筋膜の調整と鍼をした。
腰痛や坐骨神経痛でよく使用する膝裏にあるツボ「委中」(いちゅう)に鍼の刺鍼を何度か繰り返す。仰向けの姿勢で腹部と骨盤調整、続けて右下肢への鍼治療を施術は終了とした。
数日後の2回目の来院時には痛みとしびれは半分以下になっており、さらに1週間後の3回目の施術時に痛みはなくなっていた。
まとめ
筋肉は体を守るために必要だが、筋肉の状態が悪くなると体を悪くもする。筋力が強ければ収縮する力も強力なため、関節の硬化や歪みを起こすから。この利用者さまの場合は右の腰方形筋が過度に収縮していたため、右骨盤と肋骨間が指2本の隙間もないほど狭くなっていた。このような状態が続くと腰椎椎間板ヘルニアのある無しにかかわらず、坐骨神経をはじめ抹消神経への圧迫刺激を起こしやすくなる。
坐骨神経痛は体のどこで、どのようなストレスを坐骨神経に与えているかを正確に判断すること。その原因部位に対してどのツボを選び、どのような施術をするかで結果が決まる。
症例4
来院日
2018年 6月
患者
女性 60代 自営業
既往歴
糖尿病、肩こり
症状
左腰痛、左坐骨神経痛
以前より慢性的な腰痛を抱えていたが、3ヶ月前ぎっくり腰を起こし、右下肢のしびれを伴う強い痛みが出現した。病院では坐骨神経痛と診断されて、電気療法等のリハビリをしていたが、ほかに何か手がないものかと美容院の方にご紹介いただき来院。
左足をつくと腰から左下肢にかけての痛みがとても強いため杖を使用している。
うつぶせの姿勢で触診していくと、左の中殿筋と梨状筋、膝裏に強い圧痛がみられた。
左足首に腫れあり
治療・経過
圧痛の強かったツボへの鍼を行い、同じツボへ施灸。それを15分ほどくり返す。圧痛のあったツボの痛みが軽減した時点で、初回の施術は終了した。
1週後、2回目の来院時も同様の施術を行う。
3回目の時「かなり良くなった」と来院時に言われた。
初回から4週後の4回目の来院時には、杖もつかずに腰は直立して歩いていた。
その後は予防的に月1回の鍼灸施術を継続してくれている。
※施術の効果には個人差があります。