不妊
患者
女性 20代 主婦
来院
2014年 5月
症状
3年間不妊で悩み、1年3か月前から不妊専門クリニックに通う。人工授精へのステップアップを勧められたが「鍼灸が不妊に良い」と知人に聞いたことがきっかけで来院。
鍼灸は未経験。
冷え性を強い。冷えは腰と足が強く、下肢の触診では圧痛のある箇所が多かった。
脈は肝腎虚。
腹診は左中腹部に硬さがある。
生理不順。
基礎体温では高温期が短め。
高温期が下がってしまうのも、上がりすぎてしまうのも、東洋医学的には腎気の弱さに根ざしている場合が多々ある。
施術と経過
(鍼灸施術の効果には個人差があります)
骨盤は左前方変位。
腸腰筋の硬化がある。
腰部筋膜リリースをし、骨盤調整。
うつ伏せでの鍼灸施術。
ツボは天柱、腎兪、至室、太谿など。
置鍼は5分。
仰向けでの腹部と下肢への鍼灸施術。
施術後は「全身がポカポカする」との自覚があった。
2回目以降の施術は吸玉療法(カッピング)も併用した。
週1回のペースで通院。
1ヶ月後冷えが軽減。
2ヶ月頃には「高温期が安定した」自覚あり。
施術を開始して3ヶ月程過ぎた頃、電話で妊娠の報告をいただいた。
まとめ
妊娠のための身体作りには冷えを取ることが不可欠。冷えがなくなることにより本来備わっている生殖機能の力(腎気)が高まる。
卵巣への栄養は血液でしか運ばれない。
卵巣や子宮に関わる血管(総腸骨静脈など)に安定した血流を促すことが、妊娠しやすい身体への土台作りともいえる。
患者
女性 30代 会社員
来院
2014年 4月
症状
①冷え症②肩こり③腰痛④生理痛(生理前のお腹と腰に強い痛み)
妊娠を希望するも3年以上結果がでないため来院。
病院での不妊治療の通院はないので検査所見はなし。
生理周期は30日で順調だが生理痛は強い。
基礎体温は規則的。
脈は肝虚症。腹診は左中腹部に冷え。
冷え症と肩こりが強くのぼせやすい。
腰は前弯増強(反り腰)。
左骨盤は前方への変位が強い。
施術と経過
(鍼灸施術の効果には個人差があります)
生理周期は順調だが生理痛は強い。生理の状態は血流の状態を考える目安ともなる。
まずは生理痛が今よりも和らぐよう施術方針を立てる。
パソコンを長時間使うために血が上半身に集まりやすく「冷えのぼせ」を起こしやすい。
「上実下虚」(じょうじつかきょ)と言い、上半身に血がこもり下半身は冷えて力が無くなる。上下半身ともに血流を巡らすことが必要となる。
うつ伏せで筋膜リリースをした後、鍼灸施術。
ツボは肩井、至室、腎兪、次髎など。置鍼は5分。
骨盤調整の後、仰向けでの鍼灸施術。
腹部と下肢への刺鍼。
2週に1回のペースで通院していくにつれ、生理痛も以前よりは軽減。
初回から7か月後に妊娠反応。
まとめ
肩こりや眼精疲労、腰痛や下半身の血流不足など。体は想像以上に様々なストレスを受けている。
逆に肩こりが軽減するとのぼせにくくなり、のぼせにくくなると全身の血液循環がよくなる。体のストレスを一つ一つ取ってあげると、体の機能は良くなっていくもの。
不妊でお悩みの方は「どこが悪い?何が悪い?」と思い詰めがち。
一つ一つが悪いのではなく、体全体の機能の流れをスムーズに働かせることが、妊娠しやすい体作りの第一歩。
患者
女性 30歳 主婦・パート
来院
2014年 7月
症状
①腰痛
②生理痛(生理中の下腹部の痛み)
③不妊
4年前に結婚。3年間妊娠しないため、1年前より産婦人科に通院しタイミング指導を受けるが結果がでないため来院。病院での検査は異常なし。ヒューナーテストは受けていない。ホルモン数値はE₂とP₄が若干低め。薬は処方されていない。
脈では腎が弱い。お腹は下腹部(関元)の冷え。
既往歴(これまでにかかった病気):虫垂炎
施術と経過
初回では骨盤矯正を行い身体の緊張を取った後、腎を補うツボを中心に鍼灸施術。
下半身の血流や水分の流れがしっかりと行われるよう腎を補う治療を継続し、下腹部の力を取り戻していく。
2週に1回のペースで来院していくうち、腰痛の変化と身体が軽くなったという自覚が出てきた。その後も鍼灸を継続し、初診から約5か月で妊娠。その後もつわりの軽減のために鍼灸を継続した。
生活指導
運動不足が見られたので自宅でもできる効率的な運動を指導。運動不足がよくないのは基礎代謝が下がるため。基礎代謝は卵子の分割速度に影響する。年齢とともに下がる基礎代謝を維持することは、健康のためにも必要な努力だとおもう。
※施術の効果には個人差があります
まとめ
鍼灸をすることで身体が軽くなったりぐっすり眠れるようになることは多い。小さな変化のようでも睡眠の質が上がることはホルモンバランスの面でもとても大きな変化となる。
鍼灸で自然妊娠する例は多い。鍼灸で妊娠というより、鍼灸により身体が本来持っている機能を取り戻すことが鍼灸の役割なのだとおもう。
患者
女性 36歳 主婦
来院
2015年 2月
症状
①腱鞘炎 ②腰痛
初回時は腱鞘炎が悪化したために来院。腱鞘炎が良くなると同時に、不妊の相談を打ち明けてくれた。
3年前から妊娠に向けた生活を心がけたがしなかった。婦人科などへの通院はないため、検査所見なし。基礎体温・生理周期ともに気になる点なし。
腰痛は少しあるがそれ程ひどくはない。足の冷えもさほど自覚がない。腹診により左下腹部の硬さに着目し、その硬さを取るよう施術を進めていった
既往歴(これまでにかかった病気):なし
施術と経過
腰では「腎兪」に強い反応がある。
その他「命門」などへの刺鍼。置鍼中には「サンビーマー」を積極的に取り入れた。
吸玉、骨盤矯正などを交互に取り入れながらH27年3月より週1回のペースで施術。6月に妊娠の報告を頂いた。
※施術の効果には個人差があります
まとめ
この方の場合は「自然に妊娠しなかったらステップアップはしない」という強い意志をもっていた。
それでも一度は専門クリニックでの検査を受けようと話をしているうちに妊娠できた。
鍼灸での体質改善はやはり3か月が目安だとおもう。とくに異常やお悩みの症状がなくても3か月鍼灸を続けていくと、何か身体に変化が出てくる。
「スポーツで固まった筋肉のままでは良い結果が出ないように、内臓機能も血流が悪ければ本来の機能が出し切れない」
患者さんにはそのように説明している。
患者
女性 30歳 看護師
来院
2015年 9月
症状
数年間妊娠しないため半年ほど前から不妊専門クリニックへ通院しタイミング指導を受ける。もともと低体温で冷えが妊娠を妨げると知り当院を受診。
PCOC(多のう胞性卵巣症候群)。FSHが高い。低体温。便秘。
低体温、冷え症で下腹部、足がとても冷たかった。看護師というお仕事柄、腰の疲れストレスを自覚していた。
既往歴(これまでにかかった病気):特になし
施術と経過
冷えのツボである腰の「腎兪」、お腹の「関元」、足の「血海」などのツボにより、下腹部の血流量を増やすよう施術を進める。右骨盤の上方への変位がとても強く、右下腹部に硬結(筋膜の硬さ)があった。
施術を重ねるごとに冷えの自覚がなくなっていった。2か月ほど通院され妊娠に至る。
生活指導
ストレスもあるせいか過食気味だったため指導した。施術により身体が軽くなったり楽になると食生活も整いやすくなるし便通もよくなる。
※施術の効果には個人差があります
まとめ
妊娠させる「魔法のツボ」はない。血流がよくなる、眠りが深くなる、消化機能が高まる、自律神経が安定するなどの変化をさせて身体を整えていく。
それを継続して体質を変化させる。でもわずかな変化が身体を変える。「魔法」どころか「地味」なものかもしれません。
患者
女性 34歳 主婦
来院
2016年 5月
症状
二人目のお子様を希望するも3年間授からず。
さらに1年前より産婦人科でタイミング指導を受けるが結果が出ないため当院を受診。
既往歴(これまでにかかった病気)
肩こり、眼精疲労、末端冷え症(とくに足)
施術と経過
病院では「黄体機能不全」との診断。基礎体温表では高温期が不安定な場合が多い。
足や骨盤の冷えがかなり強いのと出産を経験している人特有の骨盤の動きの悪さがあったため、骨盤矯正も併用した。仕事などによるストレス性の胃の不調があるため、胃腸に対する鍼灸治療も行いながら2週間に1度のペースで通院してもらった。
とくに使用したツボはお臍横の「水分」、下にある「関元」、足にある「三陰交」。ちなみに「三陰交」は足首内側にあるツボで、このツボの温度は子宮の温度とも云われるツボ。
4回目の来院時には強かった足の冷えに改善がみられた。その時期から病院でも卵胞の育ちが良くなってると言われる。
7回目の来院から数日後、陽性反応が出たと電話を頂いた。
生活指導
パートではデスクワークにより股関節がとても固かったため、股関節のストレッチを指導。その他「三陰交」などへの自宅灸も指導した。
※施術の効果には個人差があります
まとめ
出産や育児というのは生命力の土台である「腎気」を一時的の落とすもの。本来時間をかけて回復していくものだが、様々な理由で回復しない場合は「二人目不妊」となりやすい。
「二人目不妊」は落ちてしまった下腹部のエネルギー、血流を鍼灸により高めるようにすることで、他の不妊のご相談に比べ格段に早く妊娠に結びつくことが多い。
患者
37歳 女性 パート
来院
2014年5月
症状
1年半前に結婚、5ヶ月前より不妊治療(タイミング指導)を開始した。半年経っても妊娠に至らないため、人工授精へのステップアップを踏まえてさらに身体作りを考え来院。
腹診では右脇下に抵抗があり、圧すると強い痛みを訴える。東洋医学ではこのような場所を「冷え」と捉え、治療や経過の大きな指標となる。
既往歴(これまでにかかった病気):肺がん
患者
骨盤の調整も含めて、お腹(とくに右脇下)の硬さを確認しながら施術のツボを選ぶ。
肺の手術痕の影響で上腹部の血流や筋肉の状態を悪くしていることは十分考えられる。結果的に下腹部への血流を滞らせやすくなる。
背中の筋膜が過緊張しているため、反応のあるツボに対して鍼治療を、骨盤部のツボへは台座灸を行なった。これは上に停滞している熱を引き下げるためにも有効である。
週1回のペースで施術を続け、5回目の術後からお腹の変化が大きくみられた。
鍼灸を始めて3ヶ月後に人工授精を行い、妊娠に至った。
(鍼灸施術の効果には個人差があります)
まとめ
人工授精や体外受精で妊娠できるのは、医療機関の高度な技術と努力によるもの。
鍼灸にできることは、身体を少しでも冷えがなく、血液循環のよい状態にしていくこと。
そして妊娠後に起こりやすい体調不良を、最小限に抑えられるための体調管理。それと同時に、身体の疲れやストレスをなくしていけるように、リラックスしてもらえる施術をすること。
患者
女性 40歳 パート
患者
2015年 7月
症状
4年前自然妊娠するも流産された。
その後不妊専門クリニックにて体外受精へ進んだ。5回行うも妊娠しなかったため、体質改善を考え鍼灸を選択してくれた。
既往歴(これまでにかかった病気):子宮頸がん 膀胱炎
施術と経過
腹診では、お腹の硬さはそれほどなかったが、足首のツボ「三陰交」の圧痛が強く、足首まわりがとても冷たかった。
「三陰交」への鍼と灸と背部の「腎兪」「膏肓」。腹部の「関元」などのツボへの刺鍼を毎回の施術で行う。
(足首の「三陰交」というツボは逆子の時も使用するツボ。その際「三陰交」へお灸をしていると「赤ちゃんが動き始めました!」とよく言われる。それだけ子宮と関係が深いツボと言える)
約1か月後に採卵を予定していたため、週1回から2回のペースで通院。
その後、採卵は予定通りでき「グレードがとても良かった」との報告。
さらに、2か月後に予定している移植に向けて1~2週間に1回ペースで吸角と骨盤調整も取り入れ施術継続した。
移植後、彼女得意の「フライング」により「先生やっぱり今回も駄目でした」と報告。その2日後クリニックで妊娠とわかり、メールで報告を頂く。
現在(H28年3月)当院への通院はしていないが出産に向けて身体は順調とのメールを頂いている。
(鍼灸施術の効果には個人差があります)
患者
女性 41歳 会社員
来院
2016年 2月
症状
不妊専門クリニックに2年ほど通院し、体外受精まで行うが流産してしまう。
体質を変える方法を考え鍼灸にたどり着いた。
肩こり、頭痛、便秘と下痢を繰り返しやすい。
冷え性は強くおしりと下肢に自覚症状がある。
ホルモン検査ではFSHが毎回2ケタ(20前後)になる。
既往歴:子宮筋腫
施術と経過
会社員として忙しく働きながら病院への通院などにより、体はとても疲れている。
肩こり、頭痛、冷え性をまずは取っていき、胃腸を整える鍼灸施術を継続した。
2週間に1回のペースで、吸角療法や骨盤矯正も定期的に施術した。
6ヶ月後には胃腸の調子も良くなり冷えもほとんど自覚症状がなくなったが、体外受精の結果にはすぐに結びつかなかった。
翌年2017年の3月、2ケタだったFSHは1ケタとなり、内膜も14ミリと今までにない数値となり移植へ。そのまま妊娠に至った。そして同年11月に元気な男の子を出産された。
まとめ
仕事や病院などで疲れ果て、体調の悪いままでは本来の体の機能は低下してしまう。
鍼灸にできることは体を、そして内臓機能を整えて体内に蓄積している色々なストレスを一つ一つ取っていくこと。薬に反応しやすい体にし、妊娠後も体調の良い体を作ること。