腰痛の症例2(ぎっくり腰)男性 50代
患者
男性 50代 会社員
来院
2014年 1月
症状
自宅で布団を持ち上げる際、腰に痛みが出現。
腰の痛みが強く腰を伸ばせなく、座れない。
腰だけでなく左おしり(臀部)にも痛みがある。
痛みは腰の下部、腰椎4・5番から仙骨(骨盤)にかけて。
左右の差はないが、左臀部の痛みがある。
腰椎5番骨際の左起立筋に圧痛あり。押圧すると仙骨から左臀部に響くような痛みが出現する。
前かがみになる動作よりも、腰を伸ばす(反らす)方が痛い。
※ぎっくり腰を施術する際、「脊椎圧迫骨折」との鑑別はとくに重要。転倒や尻もちをつくことで起こる印象が強いが、もともと骨がもろくなっている場合は原因が特定できない場合も多い。
背骨を軽く叩打し特有の痛みがある場合は圧迫骨折を疑い、病院を紹介することもある。
施術と経過
左上横向きの姿勢で施術。
ぎっくり腰を起こすと腹部も緊張する。筋膜リリースで緊張を取る。患部以外の起立筋、広背筋、腰方形筋、腹斜筋、内転筋群を中心に筋膜の緊張を取り鍼灸施術を行う。
ツボは大腸兪、腎兪、志室、天柱、委中、左腰腿点など。
右横向きになりほぼ同様の施術を行った。
痛みを確認後、仰向けで骨盤調整。
腰をいくらか伸ばせる状態になったため、テーピングをし施術を終了した。
その後1日おきに鍼灸を行い、最終的に計3回の施術で腰の痛はなくなった。
まとめ
何かを持ち上げる時、腰を捻った時、顔を洗う時、くしゃみをした時など、急に起こる強い腰痛発作を「ぎっくり腰」という。西洋では「魔女の一撃」とも呼ばれ、歩行や立つこともできなくなる程、激しい痛みを伴うケースもある。
布団を持ち上げる時に腰を痛めても、それはきっかけであって原因ではない。疲労により硬化した腰の筋肉は、本来持っている柔軟性を失う。筋肉の柔軟性が失われると、関節(この場合だと腰椎)の動きが悪くなる。
痛めやすい状態となった関節と筋肉は夜中さらに筋硬化し、朝急激に伸ばされるか収縮したことがきっかけとなり、ぎっくり腰を起こす。
ぎっくり腰の予防は日ごろからの姿勢の見直し、腰に負担をかけない体の使い方が大切。夜中は筋肉の動きが少ないため、朝はとくに筋肉が硬化している。起きたら軽く体幹を動かし、血液を促してから動作を開始することも予防となる。
立っている状態で膝をピンと伸ばしたまま物を取るのと、膝をしっかり曲げて物を取るのとでは、腰への負担は3倍から10倍違う。
何気ない動作でも膝をしっかりと曲げて腰を落とし、腰ではなく脚の筋肉を使うことも、腰にストレスをかけない生活には重要。