自律神経の症例1 胃の不快感・肩こり 40代男性
患者
男性 40代
来院
R3年 3月
症状
約1年前から胃の不快感と肩こり、不眠に悩まされ病院を受診した。器質的な問題はなく睡眠剤と胃腸薬を飲み続けている。何か他に手段はないかと初めて鍼灸院を受診された。
胃の不快感は痛みよりも「張る感じ」「もたれる感じ」「食欲不振」が常にある。
デスクワークによる不良姿勢が多く、ストレスも多いという。
施術と経過
腹診をすると上腹部がとても固く、押すと不快感が強い。自律神経の乱れが強い人は、お腹の筋肉の緊張がとても強い。さらにお腹に触られると吐き気などの不快感が生じやすい。
肩も押すと痛みがある。おなかと足の冷えあり。血圧は高め。頚椎から胸椎の動きが悪く円背。顔色含め血色がよくない。
身体を前かがみにしてデスクワークなどをすると、その姿勢により胃腸が持続的に圧迫される。
そのため胃腸のうっ血が起こり、その内臓反射として肩こりを起こすことがある。
鍼灸施術
風池・肩井・膏肓・心兪・肝兪・胃兪・腎兪・承山などに鍼施術。踵にある失眠にはお灸をした。
仰向け時になり鳩尾・中脘に施灸。百会・内関・足三里などに鍼をした。
経過
身体の変化に合わせてツボを変えながら同様の施術を1週間おきに行った。
2回目の施術後から胃の不快感と肩こりの症状が減少した。背部の右肝兪と左胃兪への施術の際、筋膜の過緊張が消失したと同時に、お腹の緊張も減少していた。
現在4回目の施術終了時点で胃と肩こりの症状は消失するも不眠症状は残存。それでも眠りは深くはなっているという。
(鍼灸施術の効果には個人差があります)
まとめ
自律神経が関係しない症状はありませんが、あえて「自律神経の症例」として紹介しました。
自律神経は内臓、血管、皮膚などを支配する神経のため、自律神経のバランスが崩れると疲れやすい、やる気がでない、冷え症、肩こり、頭痛、腰痛、不眠、めまい、胃腸の不調まで。数多くの症状が出現します。
自律神経の乱れが強い人は身体のどこかに必ず過緊張する部位が出現します。今回の症例では背中のツボでしたが、その部位の緊張を取ることがとても重要になるのです。
まだ残存している症状もありますが「もっと早く鍼灸を受ければよかった」と言って頂けるときが、鍼灸師でよかったとおもえる瞬間です。