肩関節痛(五十肩)と腕の痛みの症例
肩関節痛(五十肩)と腕の痛みの症例
すべての症例を掲載するのが困難なため、一部を紹介します。なお施術の効果には個人差があります。
症例1
患者
女性 70代
身体の特徴
1年ほど前、お仕事を引退されてから出現。右肩甲骨の内側と右腕がとくに痛い。痛みが少ない時も「気持ちが悪いだるさ」が常に続いている。マッサージ、鍼灸施術にも通ったことがあるが改善しなかった。
既往歴(これまでにかかった病気)
坐骨神経痛
施術の経過
肩こりの自覚はあったが首が悪いという自覚はなかった。首の動きにより症状が増減することを認識させ、首の調整を行う。その後、首から背中のツボと、ノイロメーターによる反応点に鍼灸施術をした。
数日後、違和感がまだ残っているようだったので、今度は首ではなく胸椎の調整を行い施術を修了した。
まとめ
施術はこりを感じるところばかりに集中し過ぎても良い結果は得られない。自覚していない部分の深部の硬結や「歪み」を見つけ出す技術が最も重要。
症例2
患者
女性 40代 パート
来院日
H28年 1月
身体の特徴
昨年H27年3月に左肩から腕にかけての痛みが出現し、徐々に腕が上がらなくなった。
整形外科では「四十肩」と診断されるも、10カ月経ってが改善しないため来院。友人に鍼灸を勧められた。
既往歴 肩こり、ぎっくり腰
施術の経過
左肩はやや固まっており、可動域は約90度。左手にはしびれも少しあった。
肩甲骨の硬化と肩関節の前方変位が強かったため矯正。
矯正後、肩の可動域は90度から100度ほどになった。その後横向きで鍼灸施術を行う。
2週間に1回のペースで施術を続けた。施術後は痛みが一時的になくなるが2~3日後に戻ってしまうという状態が何度か続く。
肩関節の可動域に関しては来院するたびに良くなり、4回目の来院後には150度くらいまで上がるようになった。3月末の7回目の治療の時点では痛みと可動域ともによくなった。
「マラソンデビューしたい」との本人の希望があり、現在(H28年9月)でも月に1回のペースで身体のメンテナンスのために通院してくれている。
まとめ
腕を上げるとき、肩と腕の関節が引っかからないように腕は少しずつ外旋しながら上がる。外旋の動きが悪くなったり、外旋させるための筋力が弱くなったりすると肩関節はひっかかりやすくなり少しずつ炎症が起きてしまう。
この外旋させる筋肉がインナーマッスルというもの。
肩関節の可動域を上げるには、肩を無理やり上げていくのではなく、腕の外旋する動きを無理なく調整していくと早く痛みに変化が出る。
症例3
患者
40代女性
来院日
H29年 6月
身体の特徴
右肩関節に急な痛みが出現。
肩を動かさないでも痛み、90度以上の挙上は困難。
右腕から手にかけての痛みとしびれもある。
仰向けになると痛みは増強。夜間痛が強く何度も起きる。
整形外科では「五十肩」と診断を受けるが、発症直後に通院したのみ。
施術の経過
五十肩の徒手検査は要注意。無理な動かし方により症状を悪化させる。
一番痛みが強いのは右上腕部の三角筋前面。
首と肩甲骨、鎖骨周りが硬化している筋膜をまずは緩める。
鍼灸施術は五十肩のツボと頸肩腕症候群のツボを使用した。
一週間後の2回目の来院時には当初の痛みの半分ほどに軽減。
挙上は110度程。夜間痛も軽減し、施術中も仰向け可能となる。
上腕の三角筋前面の鈍痛は軽くはなるも残存。
さらに一週間後の3回目の鍼灸施術で、痛みはなくなった。
まとめ
肩の関節痛が強くなったり慢性化したあと腕や手に痛みやしびれが出るのは、五十肩が悪化しているというより、首や肩のこりが悪化して頸肩腕症候群を引き起こしているから。
五十肩は放置せずに施術しないと首や肩の筋肉・神経など軟部組織への血流が妨げられて、慢性化してしまうこともあるので注意が必要。
※施術の効果には個人差があります。